虫歯の治療で仮詰めをする理由と注意点

虫歯の治療で仮詰めをする理由と注意点

仮詰めとは、文字通り、「仮の簡易的な詰め物」のことです。
虫歯治療の後には、治療痕を塞ぐために補綴物(ほてつぶつ)をしますが、はじめは簡易的に詰め物をして、その後で患者さまに合った正式な詰め物を詰めていきます。
患者さまにご質問をいただくことも多いので、今回は仮詰めの必要性について、また、仮詰め後の注意点について詳しく解説していきます。

仮詰めとは?

仮詰めは「仮蓋」(かりぶた)や「仮封」(かふう)とも呼ばれることがありますが、どれも同じ意味です。
軽度の虫歯は、虫歯菌に冒されている部分のみをなるべく小さく削り落とします。
通常はその後コンポジットレジン(CR)と呼ばれる歯科用のプラスチックで詰めて治療完了となります。
しかし、重症化した虫歯の場合は、削る歯が多いため、歯科技工士さんへ補綴物を発注してつくっていただく必要があります。
発注して、最終的な詰め物・被せ物が完成する前に入れておくものであるとご理解ください。

仮詰めの役割

治療したところをそのまま放置してしまうと、さまざまなトラブルが生じる可能性があります。

歯がしみないようにするため

虫歯治療には麻酔を使用することも多く、治療中は痛みが出ませんが、歯を削ると象牙質がむき出しになるため、少しの刺激で「キーン」としたしみるような痛みが出ます。
この痛みから守るのが「仮詰め」です。

隣の歯が動かないようにするため

歯は空いたスペースに動こうとするはたらきがあるため、隣の歯が空いたスペースに少しずつ移動しまうことがあります。
歯が動いてしまうと、歯科技工士さんが作った補綴物が合わなくなってしまい、再度、型を取り直さなくてはいけなくなります。
当然、仮詰めをしている期間も延びてしまうので、通院回数、通院時間、治療費にも影響します。
逆に歯列矯正の場合は、この歯の動きを逆手にとって歯並びを整えています。

歯根が細菌に感染しないようにするため

根管部の治療は、清掃と消毒を繰り返し丁寧に行うため、数回の通院が必要です。
次回の治療の間放置してしまうと、せっかく綺麗にした部分に汚れや細菌が入ってしまうこともあるため、仮詰めでフタをしておきます。

仮詰めの注意点

患者さまに気をつけていただきたい注意点は、以下の4点です。

舌や手で触れないようにする

治療した部分は何となく気になってしまい、つい手や舌で触れてしまいたくなりますが、強い力が加わるととれてしまうことがあるので、触れないようにしてください。
歯磨きの時もその部分は優しく磨き、口をゆすぐ時も強くなりすぎないようにしてください。

仮詰め後は食事を控える

治療後に案内があると思いますが、仮詰めをした後は、小1時間ほど食事をしないでください。
仮詰めがしっかり固まるまでは、口に食べ物を入れないことが鉄則です。
また、ガムやキャラメル、お餅などの歯にくっつきやすい食べ物は控えてください。

仮詰めした場所は避けて食事をする

詰め物、被せ物が完成するまでの期間は、だいたい1~2週間です。
この期間の食事は、なるべく仮詰めをしている箇所を避けるようにしてとってください。
その場所で噛んでしまうと、詰め物がとれてしまったり、削れてしまうことがあるので注意してください。

仮詰めが取れた時はどうすればいい?

以上の注意点を守っていただいたにもかかわらず、次の来院日までに仮詰めがとれてしまうことも少なくありません。
「仮詰めがとれてしまった」と分かったら、お早めにご連絡ください。
完全に詰め物がとれてしまうと、飲食物の温度で歯がしみたり、作製している補綴物が歯に合わなくなってしまう可能性も出てくるなど、トラブルが生じやすいです。
とくに重度の虫歯から、根管治療をしている場合は、要注意です。
根管治療の間にとれてしまうと、せっかく除去した細菌が再度根管内に入り込んでしまい、再治療しなくてはいけないケースも出てきます。

まとめ

今回は、補綴物を入れる前の「仮詰め」に関して解説させていただきました。
仮のものではありますが、非常に重要な役割のあるものですので、注意点を守りながら、補綴物が入るまでの期間をお過ごしください。
当院は、なるべく仮詰めがとれないように「マイクロスコープ」と呼ばれる歯科用顕微鏡を使って治療を進めていきます。
ただし、それでも仮詰めがとれてしまう可能性はゼロではありません。
万が一とれてしまった場合には、トラブルが生じる前になるべく早く歯科医院にご相談ください。

投稿日:2023年7月30日  カテゴリー:未分類